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July 2006

July 24, 2006

棋士・羽生の「大局観」と中田英寿の引退。

Soccer20ball
棋士・羽生 善治のドキュメンタリーの再放送をやっていた。十年前にはタイトル七冠全てを独占し、将棋に縁のない私であってもその偉業は知っていた。
わたしは天才という存在について、肉体を超越している霊的な存在のようなものと、勝手に勘違いをしていた。そのなかでも将棋というものは、努力を超えた才能と知性がなくては到達できない極みがあって、素人には到底及ばない境地なのだと想像していた。が、その番組で彼が言った「記憶力と瞬発力が衰えて来ると、昔の将棋は指せない」と。
その時、人間であるかぎり、天才的な棋士であるがこそ身体的な限界というものと対峙しているのだと、わたしは初めて知った。そして現在は将棋の「大局観」をどう持つかを常に考えて指しているという。それは若い肉体が持っていた側面とは異なる境地である。

 中田英寿はワールドカップをもって現役を引退した。棋士よりも、肉体の持っている瞬発力であり判断力が必要であることは自明である。それでも二十九歳という年齢での決断には残念という他ない。彼のブログの文章や行動から感じるのは、常に世界を自己愛のレンズを通して見ていることである。その範囲では、プレイに対しストイックであるし、ゲームのイメージも豊富である、優秀なプレイヤーだった。しかし、羽生の言う「大局観」を持つまでは至っていない。

勿論、棋士とサッカー選手という職業の違いはあるだろう。棋士は生涯プレイヤーであり得るのかもしれない。それでも関わり方として、もし中田が海外のトップリーグでは活躍できなくなっているとしても、名声やチームに拘らず自分を捨ててサッカーそのものを愛すことができたなら、また大きな実りがあっただろう。

晩節を汚さずというには、余りにも若すぎる判断であったと思う。

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